Q&A
離婚問題全般について
Q.夫から、慰謝料300万円を支払うから離婚をしてほしいと言われて書面で合意をし、別居をして、離婚届を出そうとしたのですが、離婚届を出す直前に、元夫から、「合意は取り消す。夫婦間の契約はいつでも取消しすることができる。」と言われました。私は、そのまま離婚届を出しましたが、300万円の支払いを元夫に請求することはできないのでしょうか。
A.民法754条は、「夫婦間でした契約は、 婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる」と定めています。夫は、この条文を根拠に300万円を支払う合意を取り消そうとしたと考えられます。しかし、判例(最判昭和42年2月2日(民集21巻1号88頁))は、婚姻が実質的に破綻している場合には、民法754条による取消をすることができないとしています。そのため、離婚協議を経て別居をした後は、婚姻は実質的に破綻しているといえるので、民法754条による取消をすることはできないことになります。つまり、民法754条の定める「婚姻中」とは、「単に形式的に婚姻が継続していることではなく、形式的にも、実質的にもそれが継続していることをいうもの」と解釈することになります。
今回の件では、夫側が取消をしようとした時点では、合意の取消をすることはできないことになります。
Q.離婚成立後に財産分与、慰謝料を請求することはできますか?
A.離婚が成立した後でも、財産分与及び慰謝料の支払いを求めて、家庭裁判所に対して調停を申立てることができます。ただし、以下に述べるような時間的制約があります。まず、財産分与について、離婚のときから2年を経過した場合は、財産分与自体を求めることができません(民法768条2項)。この2年は除斥期間と考えられており、時効とは異なり更新(中断)という概念がありません。また、慰謝料について、通常、離婚のときから3年を経過した場合は、離婚に伴う慰謝料請求権は時効により消滅します(同法724条)。ただし、時効である以上、その進行が更新(中断)するということもあります。
時間的制約にかかっていないことを前提に、以下、場合分けして説明します。
(1)財産分与のみを求める場合
家庭裁判所に審判を申し立てることもできますが、まずは調停を申し立て、話し合い
による解決を図る例が多いようです。
調停で話し合いがまとまらなければ、審判に移行します(家事法272条4項)。
(2)慰謝料のみを求める場合
家庭裁判所に調停を申し立てることもできますが、話し合いによる解決の見込みが
ない場合などは、地方裁判所に訴訟を提起することもできます。
慰謝料については、いきなり訴訟を提起する例も多く見受けられます。
なお、調停での話し合いがまとまらない場合、審判への移行を求めることはできない
ので、調停を取下げ、あるいは調停不成立としたうえで、地方裁判所に訴訟を提起
することになります。
(3)財産分与と慰謝料を併せて求める場合
同一手続において財産分与と慰謝料を併せて求めるのであれば、家庭裁判所に対し、
調停を申し立てることになります。
財産分与について相手方が応じない場合は審判に移行することになりますが、
慰謝料について相手方が応じない場合は調停を取下げ、
あるいは調停不成立としたうえで、地方裁判所に訴訟を提起することになります。
Q.現在離婚を考えているのですが、離婚に伴う財産分与や慰謝料の具体的な請求手続について教えてください。
A.離婚と同時に財産分与、慰謝料を請求する場合は、まず、離婚それ自体に関する相手方との話し合いと併せて、財産分与の対象・分与の割合・分与の方法や、慰謝料の金額・支払方法などについて話し合いを試みるのが一般的です。
相手方との話し合いがまとまらなくても、いきなり訴訟を提起するのではなく、まず家庭裁判所に対して離婚を求める調停を申立てる必要があります(調停前置主義、家事法257条1項)。調停で話し合いがまとまらず、調停不成立となれば、家庭裁判所に対して、離婚と併せて財産分与及び慰謝料の支払いを求める訴訟を提起することになります(人訴17条)。
Q.内縁の相手から関係を一方的に解消された場合にも、離婚の場合と同じように財産分与や慰謝料を請求することはできますか。
A.内縁関係とは、婚姻の意思を持って夫婦共同生活を営み、社会的にも夫婦として認められているにもかかわらず、婚姻の届出をしていないため、法律上の夫婦として認められない関係のことをいいます。内縁として法的に婚姻に準ずる扱いを受けるためには、社会的にも事実上婚姻としての実質を備えた男女関係でなくてはなりません。内縁の成立には、当該男女間に①婚姻意思があること、②これに基づいた共同生活があることが必要です。婚姻意思の存在については、結婚の儀式の有無や親族・知人ら周囲の関係者の認識、共同生活の内容、継続状態など一定の客観的事情をもって判断されることとなります。
内縁関係にある者は、婚姻関係に準じた法的保護を受けることができます。したがって、内縁の相手方が関係を一方的に解消した場合は、離婚の場合と同様、財産分与や慰謝料を請求することができます。
Q.ある日突然、配偶者から離婚を切り出されましたが、離婚はしたくありません。このような時にはどうすれば良いですか?
A.まずは
1、相手を否定しない
2、感情的は話し方をしない
3、第三者を交えた話し合いの場を持つ
などが挙げられます。
また、本籍地などの市区町村役場に「離婚届不受理申出」をしておくことも出来ます。これは、離婚届が提出された場合でも、受理をしないようにしてもらうための制度で「勝手に離婚届けが出されてしまった」などといった事態を防ぐことが出来ます。
Q,いわゆる「熟年離婚」というものになりそうです。熟年離婚だからこそ気を付けた方がいいことは、何かありますか?
A,一般的にですが、婚姻期間が短い場合と比べて、その婚姻中に築かれた夫婦の共有財産が多額に上ると思われること、また、退職金などの財産が有り得ることが考えられます。
一方で、離婚後の再就職が困難になりますので、双方の生活が経済的に保証されるように適切な解決を図る必要性があり、離婚の際の財産分与が占める重要性は大きくなると思われます。
また、特有財産を立証するための資料が現存していないことも多く、協議が紛糾することが多いので、特有財産を証明する資料を残しておくことが大切です。
Q,10年以上日本に在住している外国人同士の夫婦です。 事情があって離婚することになりましたが、日本での離婚手続きは行えますか?
A,外国人同士のご夫婦でも、日本で離婚手続を行うことはできます。もっとも、どの国の法律が適用されるかにより、どの離婚手続を利用することができるかが決まりますし、また、日本で離婚手続を取ったとしても、その離婚手続の効力が外国で認められるかどうかについては、その外国の法律によるため、慎重な検討が必要です。
協議離婚が可能か、判決離婚しか認められないのかといった問題については、通則法27条の離婚の準拠法の規定が適用されると考えられています。
同条による外国人夫婦の離婚の準拠法は、以下のとおりです。
①夫婦の本国法が同一である場合には、その同一本国法
②同一本国法がない場合において、夫婦の常居所地法が同一であるときは、その同一常居所地法
③同一本国法も同一常居所地法もないときには、夫婦に最も密接な関係にある地の法
この通則法27条の規定により、どの国の法律が適用されるかを決定します。
Q,「配偶者からの暴力」の定義を教えてください。
A,DV防止法とは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律で、人権擁護と男女平等の実現を図り、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることを目的として、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制などを定めています。
このDV防止法でいう「配偶者からの暴力」とは、身体に対する不法な攻撃であって、生命または身体に危害を及ぼす暴力、またはこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいいます(配偶者暴力1①)。
Q,配偶者が子どもを虐待しています。これ以上一緒に暮らすことはできないので、離婚を考えています。虐待を理由に離婚を請求することはできますか?
A,離婚をすることに、配偶者が同意している場合、離婚の理由は特に問われることはありません。しかし、離婚に向けて配偶者の同意が得られていない場合、民法770条1項各号の規定する離婚原因(1号:配偶者の不貞行為、2号:配偶者による悪意の遺棄、3号:配偶者が3年以上生死不明、4号:配偶者が強度の精神病に罹患し回復の見込みがないこと、5号:その他婚姻を継続し難い重大な事由)に該当すると認められた場合に、裁判での離婚が可能になります。
配偶者の子どもに対する虐待の程度によっては「5号の婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚原因になる可能性があると思われます。
この際、配偶者による子への虐待があったことの証拠が必要になる場合もありますので、証拠として有効なものは何か、どのように証拠を集めれば良いのか等については、個別に弁護士にご相談ください。
不倫、不貞について
Q.夫が不倫していることが分かりました。離婚したいのですが、夫は離婚届けにサインしてくれません。サインしてもらえないといつまでも離婚できないのでしょうか?
A.離婚届にサインしてもらえない場合でも、家庭裁判所に調停申し立てをして離婚するための話し合いをすることもできます。もっとも、旦那さんが、調停の場でも離婚することを了解しない場合は、調停は不成立になります。
しかし、その場合は、更に裁判所に訴訟を起こすことができます。訴訟をした場合、旦那さんの了承がなくても、不倫(不貞行為)などの離婚原因等が認定されれば、離婚することができます。
Q.妻の携帯電話のメールを見てしまい、妻が不倫していることが分かりました。相手はどこのだれか全くわかりません。慰謝料を取りたいのですが、どうすればいいですか?
A.調査会社等の調査によって、携帯電話のメールアドレスや電話番号から不倫相手の氏名や住所が分かることがあります。
また、調査会社を使って、不貞現場の証拠を確保すれば、慰謝料請求できる可能性が高まります。
Q.妻が不倫している気配があるのですが、証拠がつかめません。興信所や探偵に依頼して、不倫現場の証拠を押さえようと思うのですが、不倫現場の証拠さえあれば、必ず慰謝料は取れるのでしょうか?不倫相手からも慰謝料を取りたいのですが。
A.不倫現場の証拠があっても、婚姻関係破綻後に不倫した場合は、慰謝料が取れないことがあります。
婚姻関係破綻前に奥さんが不倫している証拠をつかむようにしてください。婚姻関係の破綻は、別居しているか否かが一つの目安になることが多いです。
Q.行政書士に、不倫相手に対する慰謝料請求を依頼したのですが、不倫相手が慰謝料を払う意思を示しません。なぜ、行政書士さんは、私の代わりに不倫相手と交渉をしてくれないのですか。
A.行政書士は、離婚や不倫事件において、紛争性がある場合、あなたの代理人として交渉することはできないという見解があります。
また、行政書士は、調停や裁判であなたの代理人になることはできません。
調停や裁判に至るまで一貫して代理人として交渉できるのが弁護士です。知らずに行政書士に依頼する方もいるようですが、弁護士と行政書士とは権限が異なりますのでご留意ください。
親権、監護権について
Q,離婚の際に3歳になる子どもの親権者となりました。そもそも、親権にはどのような意味があるのですか?
A,子どもは、大人になるまでは自分の力で生きて行くことが出来ません。そのため、他の人から面倒を見てもらったり、経済的な援助を受けます。また、子どもが財産をもっていればその財産を適切に使うための援助も必要です。このように子どもを監護・教育し、財産保全を行う資格を親権といいます。
親権の法律上の具体的内容としては、以下の通りです。
①身上監護権
身上監護権は、独立の社会人としての社会性を身につけるために、子どもを肉体的に監督保護し、また、精神的な発達を図るために教育する義務です。
②財産管理権
財産管理権は、子どもが財産を持っているときに、その財産を管理し、また子どもの財産上の法律行為について、子どもを代理したり子どもが法律行為をすることに同意したりするものです。
Q.男親ですが、子どもの親権を取ることができますか?
A.男親だから子どもの親権を取ることができないということはありません。子どもがまだ幼い場合は、一般的には母親有利と言われていますが、それまでの監護養育状況等にもよるので、詳しくはご相談ください。
Q,妻と離婚することになりましたが、子どもがまだ幼いことから妻が親権者となりました。その場合、私と子どもは法律関係がなくなるのですか?
A,親権者でなくなっても、子どもの親であることは変わりません。
また、法律上も、親権者でなくなった親子間でも面会交流が認められたり、相続や扶養義務等が認められます。具体的には、以下のとおりです。
①相続人となる……親子であると、親が亡くなって相続が開始すると、その子は親の第1順位の相続人となります。また、子どもが亡くなると、親は亡くなった子の第2順位の相続人となります。
②扶養の権利義務……血の繋がった親子は直系血族となりますが、直系血族は互いに扶け合わなければならず、お互いに扶養する義務があります。
③生命侵害の不法行為の場合の慰謝料請求権……他人の不法行為によって被害者が死亡した時は、被害者の父母、被害者の子は加害者に対して慰謝料請求をする権利が認められます。
Q.浮気をしてしまって離婚することになりましたが、親権は絶対に渡したくありません。どうすればいいですか?
A.法律上では、不倫と親権は無関係であると考えられています。そして親権は、監護の継続性を第一に判断されますので、不倫した側でも親権を取得することは可能です。
とはいえ、相手方からは「不倫した人に子供は任せられない」などと主張をしてくることも予想されますので、親権者をどちらにするか合意が難しいこともあります。
Q.妻が不倫していることが分かり、離婚協議をしているのですが、幼い子どもの親権を巡って争いになっています。不倫した妻が親権を取るということが許されるのでしょうか。
A.裁判所が、どちらの親を親権者とするか判定する場合、不倫を行ったことを悪い材料として評価する見解もあります。しかし、かりに悪い材料と評価するとしても、決定打のような強い材料判断にはなりません。
子どもの親権は、どちらの親が親権者となった方が、子どもが健やかに成長できるかという「子どもの福祉」の観点から決されます。ですので、不倫した妻であっても、道徳的な非難はともかくとして、子どもにとってはいい母親ということがありえます。
裁判所は、子どもが幼い場合、母親を親権者として認めることが多く、父親としては、自ら家庭を壊した母親に親権が認められてしまうのは釈然としないものもありますが、不倫の点は、慰謝料の問題として評価されることになります。
Q,離婚をするにあたって、子どもの親権をお互いに主張して対立しています。私は一日も早く離婚を成立させて再婚したいと思っています。とりあえず相手に親権を譲って離婚をして、離婚を成立させた後から親権者を自分に変更することはできますか?
A,離婚の成立後に親権者を変更することは可能ではありますが、離婚成立後の親権者の変更は、父母間の話し合いだけでは認められませんし、そのハードルも高いです。
まず、離婚の際に定めた親権者を変更しようとする場合には、必ず、家庭裁判所に親権者変更の調停もしくは審判を申し立てなくてはなりません。これは、親権者が簡単に変更される事態が起これば、子どもが安定的な生活ができなくなるので、子どもの福祉や利益に悪影響を及ぼしてしまう可能性があるためです。
そのため、家庭裁判所では「親権者を変更することが子の利益になるのか」という観点から、親権者変更の判断をします。
そして、親権について争いがある場合、離婚時に親権争いをするのと異なり、親権者変更を認めるハードルはさらに高いと一般に言われています。そのため、「離婚した後から親権者を変更できるから大丈夫」と安易に考えない方がよいと思います。
Q,子どもを連れて夫と別居していますが、夫から子どもを返せと言われました。別居中でも、法律で、私が子どもを育てることを認めてもらうことができますか?
A,民法では、親権者とは別に「子の監護をすべき者」である監護者を定めることを認めています(民法766条)。
親権とは、未成年者の子どもを監護、養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務のことをいいますが、その親権のうちの監護権のみを有する者を「監護者」といいます。簡単に言えば、監護権とは、子どもと暮らしてその世話や教育をする権利義務といえます。
監護権は、親権の一部ですので、原則、親権者が、子どもと暮らしてその世話や教育をします。しかし、親権者と監護者を別々に定めることも可能です。
当事者の協議で監護者を決めることができれば、監護者になることができます。しかし、当事者の協議がまとまらない場合でも、家庭裁判所に監護者の指定を求める調停や審判を申立てることができます。
Q,息子夫婦が離婚することになりました。どちらが未成年の孫を引き取るかで争っていますが、数年前から孫は、私たちの家で面倒を見ており、息子夫婦は孫とは別々に暮らしています。離婚後も私たちが孫を引き取って育てていくことは可能でしょうか?
A,親権者となれるのは親だけですが、祖父母であっても、お孫さんと養子縁組をすれば親権者となることはできます。ですが、お孫さんが未成年者である場合は、現在の親権者である父と母の同意がなければなりません(民法797条1項)。
親権にこだわらないのであれば、息子さんが親権者となり、祖父母であるご相談者様達が監護者となる方法もあります。息子夫婦がご相談者様を監護者とすることを承諾すればよいですが、そうでない場合は、祖父母であるご相談者様が家庭裁判所に監護者指定の調停(審判)を申し立てることができるか否かが問題となります。
この申立てができるのは原則父母とされていますが、父母が子どもを虐待している事案等では、祖父母からの申立てが認めた例もあります(金沢家裁七尾支部平成17年3月11日審判(家月57巻9号47頁))。また、親権者にそのまま親権を行使させると子の福祉を不当に阻害することになるような場合は、子の伯母が自身を監護者に指定するよう申立をし、それが認められた事案もあります(大阪高決平成11年8月23日)。
ご参考にしてください。
面会交流について
Q.面会交流を円滑に行うためのツールはありませんか?
A.監護親と非監護親が協力しながら面会交流を行うことが望ましく、お子さんの状況についてできるだけ情報共有を図る方がよいと考えます。もっとも、監護親と非監護親の間には心理的な葛藤があることも多いため、円滑な情報共有を図るためのツールとして、明石市作成の「こどもと親の交流ノート」を利用することをお勧めしています。同市のウェブサイトからダウンロードできますので内容をご確認ください。
Q,離婚をする予定です。私の夫は最低の人間なので、子どもに会わせて良い影響があるとは思えません。別居生活が始まっていますが、子どもも夫のことを話そうとしません。子どもも会いたいと思っている様子はないので、面会交流をしないことにすることはできますか?
A,お子さんが本心から面会交流を拒否している場合は、直接会う等の面会交流をしないことにできることもありますが、お子さんがお母様の意向に迎合して、お父さんと会いたくないと言うことがあるので、お子さんの真の意向は、慎重に判断する必要があります。
なお、名古屋市の山田万里子弁護士のコラム(http://www.aoba-law.jp/?p=1481)が、とても分かりやすくこの点を説明していますので、外部サイトですが、こちらの記事もご覧ください。
婚姻費用、養育費について
Q,離婚をするときに、前妻と、子どもの養育費については毎月10万円、と決めました。しかし、将来、私が再婚をして子どもが生まれた場合、毎月10万円もの養育費を支払い続けることができるのかが心配です。養育費が支払えない場合は、どうすればいいのでしょうか。
A,離婚の際に、養育費について協議して決めた場合でも、調停や審判で決められた場合でも、取り決め後に事情の変更が生じ、養育費の金額を変更したいと考えることもあるかと思います。その場合、相手と合意をすることができれば、養育費額を変更することができます。
しかし、当事者間の直接の話し合いで合意することができない場合は、家庭裁判所に養育費減額調停申立をして、調停で話し合うこともできます。
さらに、調停でも合意をすることができない場合は、家庭裁判所の審判によって、養育費額変更の可否を決めることになります。
なお、審判によって、養育費額の変更が認められるのは、当事者の扶養家族数の変動や収入の変動等の事情が生じた場合が一般的です。養育費の当初合意をした後に生じた「事情の変更」が、合意当初予見することができないものであるか、それとも当初合意時に織り込み済みのものであったかが争点になります。
Q,私は数年前、子どもを連れて離婚しましたが、近く、再婚をする予定になっています。再婚して後夫が私の子どもと養子縁組をした場合、子どもに対する扶養義務は、前夫と後夫のどちらにあるのでしょう?
A,再婚相手となる新しい夫(後夫)があなたの連れ子と養子縁組をした場合、第一次的な扶養義務を負うのは養親(後夫)となります。
それは、再婚相手と連れ子が養子縁組をすると、養子は再婚相手の嫡出子となる(民法809条)からです。だからといって、親権者でない実親(前夫)の扶養義務が消滅するわけではなく、養親の次順位の扶養義務者となります。そのため、後夫の収入が乏しく経済力がない場合は、前夫が養育費を支払って現実に扶養をしなければならないことになります。
再婚相手となる新しい夫(後夫)と連れ子が養子縁組をしない場合は、扶養義務を後夫が負うことはありませんが、連れ子から見ると後夫も三親等内の親族に当たりますので、家庭裁判所が「特別の事情」があると認めれば、扶養の義務を負わせることができるとされています(民法877条2項)。
Q,最高裁判所が、養育費算定表を見直して、高額化する方向で改定し、2019年12月にこれを公表すると聞きました。私は、すでに離婚して養育費の取り決めをしているのですが、私も、新しい養育費算定表を根拠にして、養育費の増額を求める調停を起こそうと思っています。養育費の増額は認められるでしょうか?
A,養育費算定表が改定されたことのみを理由として、養育費の増額を求める場合、相手方が増額を拒絶すると、調停は成立せず、審判になります。審判で養育費の増額を認めてもらうことは、おそらく困難と予想されます。
なぜなら、一旦合意した養育額を変更するためには、「事情の変更」が必要とされているところ、最高裁が養育費算定表を改定したという事情は、「事情の変更」とは評価されないと考えられるからです。
子どもの親の収入の変動、新たな子の誕生等の扶養家族数の変動等の事実は、「事情の変更」にあたると考えられますが、最高裁が養育費算定表を改定したことは、前提となる基準を改定したものに過ぎず、「事情の変更」にはあたらないと判断されると思います。
また、養育費算定表は法律ではありませんが、基準として機能していた点で規範や法に似ているところ、法律の場合、法律が改正されても、改正法が過去に遡って適用されることは例外です。そのため、養育費算定表の改定も、遡って過去の法律関係(過去にした養育費合意)を変更させることを予定したものではなく、「事情の変更」には該当しないと判断される可能性が高いと思われます(仮に、養育費算定表の改定のみを理由に養育費増額を認めれば、全国の家庭裁判所に養育費変更申立が激増し混乱が生じるので、その意味でも、「事情の変更」として認められないと予想されます。)。
もっとも、前の養育費合意後に、収入や扶養家族数の変動等があれば、審判によっても養育費額が変更される可能性は高く、その際は、最高裁が改定した新しい養育費算定表が基準として適用される可能性が高いと考えられます。
当事務所について
Q,経験の浅い弁護士よりも経験豊富な弁護士に依頼をしたいので、法律事務所を選ぶ際に、弁護士の経験を比較したいです。どのようにして調べればよいか教えてください。
A,まず、当事務所の弁護士の弁護士登録年次は、2005年であることをホームページに明示していますし、司法修習期が58期であることも明示しています。
他の法律事務所では、経験の浅い弁護士は、ウェブサイト上に弁護士登録年や司法修習期を掲載していないこともありますが、日本弁護士連合会の弁護士検索ページでその弁護士の氏名を入力すれば、弁護士登録番号を確認することができます。
弁護士登録番号の数字が小さい方が弁護士登録した時期が古く、数字が大きい方が弁護士登録した時期が最近である(経験年数が少ない)ということになります。
司法修習とは、裁判官、検察官、弁護士になるために、司法試験合格後に司法研修所で受ける研修のことです。そして、1947年から現在の司法修習制度になり司法修習生を採用しているので、その年に司法修習を受けて司法研修所を修了した方が第1期にあたります。法曹三者の間では、この司法修習期が、法曹としての経験の長さを示すものとして認識されています。そのため、50期の弁護士の方が70期の弁護士よりも法曹としての経験が長いということになります。
この司法修習期は、日本弁護士連合会の会員ページで検索することによって確認することができますが、一般の方は、会員ページを利用することができません。
しかし、一般の方でも、日本弁護士連合会の弁護士検索ページでその弁護士の氏名を入力すれば、弁護士登録番号を確認することができます。弁護士登録番号は、弁護士登録した順番ごとに番号が割り振られるため、弁護士登録番号が30000番の弁護士の方が、50000番の弁護士よりも、弁護士登録した時期が古いということになります。なお、山田昌典弁護士の弁護士登録番号は32883番になります。弁護士登録番号、修習期、経験年数の早見表を作成して公開している弁護士もいるので、こちらもご覧ください。
Q,法律相談に行きたいのですが、新型コロナウィルスに感染するリスクを考えて躊躇しています。つくば法律事務所では、新型コロナウィルス感染防止のためにどのような対策をしていますか?
A,新型コロナウィルス感染のおそれは、まだ続くものと考えて対策を取っています。当事務所の取っている新型コロナウィルスの感染拡大防止対策は、以下のとおりです。
1、弁護士及び事務職員のマスク着用
2、相談者のマスク着用(マスクをご用意でない方にはマスクを配布しています)
3、来訪者の手指アルコール消毒徹底(アルコール消毒液を出入口に備え付けています)
4、弁護士及び事務職員の手洗い、手指のアルコール消毒(アルコール消毒は、事務所外に出る時及び事務所内に戻る際に,必ず行っています)
5、毎朝、アルコールを用いて、事務所内及び相談室内の拭き掃除実施
6、相談室をする使用ごとに、毎回必ずアルコールを用いて相談室内の拭き清掃実地
7、相談室内に、高さ60cm,幅90cmのアクリル板を設置
8、相談室内で弁護士とご相談者様の座る距離を約2m離す
9、一時間毎に事務所内の換気を実施
10、オンライン法律相談、電話法律相談の開始(有料)
今後も、状況を注視しながら必要な措置を行っていきたいと思っています。ご来所いただく皆様にも引き続き、ご理解ご協力をお願いいたします。