夫婦間で離婚の合意が得られない場合や、離婚意思の合致はあるが慰謝料や財産分与、子供の親権などの離婚条件を夫婦間の話し合いでまとめることができない場合に、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てて、離婚について協議します。離婚トラブルの場合は、原則として、すぐに訴訟で解決するのではなく、まず調停で解決することが義務づけられています(調停前置)。
調停離婚のメリット
・当事者の間に中立の第三者である調停委員が介入して、双方の主張をまとめるので、一方的に不利な条件での離婚となることを防げる可能性が高い
・調停離婚が成立して作成される調停調書は、公正証書よりも安く作成できる
・離婚調停は一方が調停委員と話している時は、もう一方は別室での待機になるのでお互いが顔をあわせることはない。暴力等が心配なケースでも安心
調停離婚のデメリット
・相手が欠席すると話が進まない
・離婚調停の申立から結果が出るまでに、時間がかかる
・離婚調停は平日かつ日中の時間帯のみの開催になるので、離婚調停に出る為に仕事の休みを取らなければならない
調停離婚の注意点
調停はあくまでも夫婦の合意に基づき離婚をするものであり、調停委員が離婚の可否を決定するものではありません。調停は、裁判のような強制力はなく、調停委員を通した夫婦の話し合いです。相手方が、調停の場において、どうしても離婚をしたくないと譲らない場合には調停という手段を用いても、調停不成立で終了してしまいます。
調停離婚の手順
(1)家庭裁判所への申し立て
申し立ては、夫婦のどちらか一方のみで行うことができます。全国の家庭裁判所に夫婦関係事件調停申立書(裁判所に備え付けていますし、裁判所のホームページでも公開されています。)があるので、それを使用して書面で行うことが多いです。調停申立書は簡単に記載できますが、親権者や養育費、財産分与、慰謝料の金額の記入欄があります。調停では、この申立書をもとに、離婚条件の調整をされます。金額の見当がつかない場合は、事前に弁護士に相談するなどして相場を理解しておいた方がよいでしょう。
(2)呼び出し状の送付
申し立てが受理されると、1週間~2週間後に家庭裁判所から第1回目調停期日が記載された呼び出し状が当事者双方に郵送されます。
(3)第1回調停期日
調停には必ず当事者本人が出頭しなければなりません。弁護士を代理人として出頭させることができますが、本人も出頭することが原則です。どうしても本人が出頭できない場合には弁護士のみの出頭でも認められていますが、やむを得ない事情がない限り調停には必ず出頭するようにしてください。
1回目の調停では、調停委員から調停の意味や手続きについて説明を受けます。その後、調停委員が交互に当事者から事情を聞いていきます。1回にかかる調停時間は、2~3時間です。これは夫婦それぞれから30分程度、調停委員と話し合いを数回繰り返すためです。調停が成立する際には、原則当事者双方が同席しますが、それ以外は、当事者は顔を合わすことなく、別々に調停委員と話をすることができます。
(4)数回の調停
調停は2回目、3回目と約1ヶ月間隔で行われ、通常は半年程度で終了する事案が多いです。離婚調停が成立する際には、必ず当事者本人の出頭が求められます。
(5)調停調書の作成
数回の調停を行い、夫婦が合意に達すると、裁判所が調停調書を作成します。調停調書には離婚することに合意したこと、親権、お金に関する事項、面会交流等について、話し合いで成立した内容が記載されます。